2022-08-25
『この二年間何をしていたのかを書いていきます』その２
また日にちを開けてしまいましたが、続きを書きます。
こまの闘病生活とともにマーキングなども増えていた2020年8月の終わり頃、隣の空き地で草むらに隠れていた子猫を見つけてしまいました。
今いちばんの問題児に育った『やはね』です。
最初は『みかん』って名前で呼んでいましたね。
その二ヶ月後の10月末には、『みにお』って最初呼んでた『あまね』を迎え、やどは賑やかに、でも負担はどんどん増え、みんなのマーキングなども続いていました。
そしてその翌月の11月、こまは5ヶ月の闘病生活を頑張り抜き、自由になっていきました。
それからは、残ったみんなとの楽しい生活、だけとはいきませんでした。
毛長のちはや、まだまだ子供で甘えたい盛りにむさしとのお別れ、こまの出現、立て続けにやはねあまねとチビっこが来て、どうしていいか分からなかったんでしょうね。
寂しかったんでしょう。
その辛さのはけ口が、家出をする事や、まだ小さいやはねへと向いていく事になりました…
長い間、やはねが近寄るだけで見たことのない威嚇をする様になっていたんです。
ちはやの次の子だったからでしょう。
やはねの方はワケも分かってなかったようです。
あまねと二人、柄も似ていて双子と思うくらいに仲良しにスクスク育っていきました。
そして年も明け長い期間が過ぎ二人も大きくなってきた頃、2021年の６月、また階下で泣き声が。
黒い小さな塊を見つけた僕は一瞬考えた後、手を差し出したらまだヨタヨタと歩くその足で、障害物も乗り越えよじ登り、僕のところへ来てくれたんです…！
最初はみんな、里親を探すつもりなんです。
『情が移った』、言葉にしたらそれだけなんですけど、毎回毎回同じ事をして自分を苦しめてるのに、この時も、ウチの子として迎える事にしました。
『こむぎ』、最初見た時から名前は思い浮かんでいたんです。
とばり以来初めての女の子、ウチの次女でした。
みんなの反応が怖かった、最初は。
またみんなに呆れられてストレスをぶつけられる、そう思って。
でも、予想外にみんなは受け入れてくれたんです。
やっぱり女の子だったからでしょう。
他はみんな男の子で、やっぱりおとこ同士はケンカにもなっていきます。
気づけば、本当にみんなからちょっかい出されてもケンカとかにはなりませんでした。
そしてちはやが変わったのもこの頃でした。
やはねへのキツイ対応が少しづつ無くなっていき、一緒にごはんも食べられる様になっていきました。
マーキングなどは続いたり減ったりしながらも、こむぎを中心に楽しく過ぎる日々が続いていました。
たぶん自分も、その頃はまだ穏やかにいられた気はします。
そのこむぎがやってくる少し前から、『まだら』と言う子が家にいました。
実はウチの次男坊で『わたつみ』と同い年、まだ子どもの頃からご飯だけ食べにきてはすぐに出て行く様な子で、半年も姿を見ない時もありました。
そんな風来坊のまだらが、春頃から毎日帰ってくる様になり、なんならウチで寝てくれたり、僕たちは喜んでるところもあったんです。
でも、まだらは病気になっていました…
最終的に病名ははっきりしなかったんですが『扁平上皮癌』、皮膚ガンの様でした。
耳にケンカの傷跡でかさぶたができていると思っていたのは実は腫瘍で、治らないなと思っているうちにそのかさぶたが大きくなり、その部位が無くなってきたんです…
痛かった事でしょう。
身体もどんどん痩せていきました。
でも、辛そうな顔もせずいつも食べては出かけ帰っては寝て食べて。
必ず毎日外へは行っていました。
まだらも外が長かった子なので、やっぱり自由に歩きたかったんでしょう。
病院へは一度連れていきましたが、でも、最後のその日までを考え、過度の治療はやりませんでした。
いつまでもまだららしく、自由にいさせてやりたかったんです。
そしてその日も、柵を越えるジャンプもやっとなのに出かけていき、夜に帰る時間が過ぎても帰りません。
その時動けなかった僕の代わりに、香織が探しに行ってくれました。
そして彼女が普段思わない様な、ふと思って見た場所に、まだらが横たわっていました…
電話がかかってきて、走って降りて、その姿を見た時に僕ももう…そう思いせめてお家に連れて帰ろう、そう抱き上げたまだらの身体から、微かな鼓動を感じたんです。
『まだ生きてる！』
そう言ってすぐに上がり、お湯とタオルを用意して、汚れた体を拭きながら温めて、ずっと身体をさすってあげていました。
そしたら、まだらが微かに目を開いてくれたんです。
呼吸も弱々しく、時折ひきつる様な息もしたり、でもまだらはまだ僕たちの目の前にいるんです。
それから何時間そうしていたか。
二人でまだらの名前を呼びながら、しっかりと顔を見て目を見て、ずっとずっと一緒にいました。
そして何度目かの荒い呼吸があり、まだらの顔の正面に顔を持って行き、真っ直ぐ目を見て、まだらの名前を呼んで…
その時まだらは、僕の目をしっかりと見ながら、ヒゲを震わせて口を動かしてくれたんです。
医学的には痙攣なのかもしれない。
でも、僕たちにはまだらはこう言ってくれた風にしか思えませんでした。
『ありがとう』
沖縄にも寒い冬が訪れる、2021年12月の事でした…
